2011年3月14日月曜日

インドで震災後の日本の復興について考える

金曜日にも会社でインド人スタッフに「日本の家族は大丈夫か?」と心配され、週末はFacebookLinkedinなどのSNSでカナダやフランスやマレーシアやら色々メッセージをもらっていたが、今日も会社でインド人のスタッフから「今回の地震・津波に関して心配している、祈っている」と言われ、また以前居たマレーシア人のスタッフからもいくつかメッセージのメールを受けた。

みんな「できるだけ多くの人が助かるように祈っている」、というのと同時に、「日本は必ず復興できる。何よりそれだけの技術力と資金力がある」と言ってくれる。

会社からの帰り道にスラムを見ていると、日本の地震の避難所も固い床に寝て、トイレは(たぶん)流す水もなくヒドイ状況だろうことが想像がつく。ある意味道路で寝てたり、スラムに住んでいたりするインドの姿が人間の生活の原型に近く、普段は文化的生活をしている日本も家を奪われライフラインがなくなると同じような生活になってしまうということだ。

今、目の前では原発の危機的状況が続いており、その被害を最小にすることが重要だが、少し先を見ると、不足している電力をどう手当てするかが肝要になる。
単純に使えなくなった原発の代替としてまた原発を建設するとしたら、今回のことを踏まえると福島県が受け入れるとも思えず、かといって他府県もまず断るだろう。つまり原発の再建設はかなり困難である。
かといって火力発電所となると、CO2の排出、燃料の高騰および調達の困難さなど、課題が多く現実的ではない。

かといってこのままの不足した状態での電力供給でインド(特にデリー周辺)のように突然の停電が毎日あることが当たり前の生活や、避難しながらまるでスラムのような生活をし続けることは、日本人に受け入れられることではない。

そこで僕が考えるのが今回を機会と捉え、新たな方法で電力需要に対応することである。ピークに合わせて発電所を建設する従来の方法を取るのではなく、ピークに必要な電力を蓄電し、ピーク時には放電して対応することである。日本のリチウムイオン電池は韓国に追いつかれてきたとはいえまだ技術的には一日の長はあるし、大規模な需要には日本ガイシのNAS電池という中東では実施済みの対応方法もある。すでに幾つかの実証実験(つくばけいはんな)は走っているし、日産・旭化成や三菱グループなどいくつかのグループでEVと中古のリチウムイオン電池での蓄電、太陽光発電などの組み合わせを事業モデル化しようとしている。

復旧に必要な予算を単純な発電所建設に使うのではなく、新たな蓄電方法と、一部のクリーンな発電方法 ー太陽光発電、風力発電、燃料電池発電ー を組み合わせるものを世界に先駆けて本格導入するのだ。新エネルギーとスマートグリッドの実践だ。従来の電力会社、特に東京電力は自分たちでコントロールしきれなくなることに難色を示すだろうが、かといって今回原発や計画停電でかなりの批判を受けており、世論がこの方式に傾けば一気に持っていくことができるように思う。ピーク時とボトム時の電力需要の差が30%以上あり、蓄電に必要な設備投資が原発への設備投資と同等で蓄電によってピークの30%をカットできるのであれば成り立つ話だ。

どこの国も、特に中国やインドなどの新興国は増加し続ける電力需要には悩んでおり原発の建設を計画していることもあり、今回の原発事故には注目している。当座の解決策としては原発プロジェクトは進めるのだろうが、一方で彼らは日本でさえ事故を起こしてしまったものを、自分たちが管理しきれなくなることも本音部分ではわかっているだろう。
そこで日本が自らが実験台となり新エネルギーシステムを成功させ、世界に示すのだ。日本で実績のできたシステムは各国で導入され、結果として日本企業は震災での生産休止などでの一時的な低迷を脱し復活するだろう。

国家としてこの政策を推し進めるのは今を置いて他にない。宮田秀明東大教授を推進役に指名してぜひ検討してもらいたいものだ。そのぐらいの英断ができれば民主党政権も見直されると思うのだが。

1 件のコメント:

  1. クリーンか否か、という軸は私にとっては重要な軸です。ぜひクリーンに移行してもらいたい。
    他の軸では、集中は分散か、もあると思います。原発は「集中」指向。コンピューティングでいうとサーバに当たるのかな。進化はサーバ性能の向上。発電だと水力→火力→原子力。で次世代はプルサーマルや核融合で性能強化を図る、というのが図式。
    課題は巨大なライフサイクルコスト。今回のことでその意味を見直す機会になりますね。
    一方でクリーンは必然的に分散指向。コンピューティングでいうと昔はワークステーション、いまならグリッドコンピューティングとかになるのかな。1つ1つのノードの性能を向上させることと、システムとしての性能を向上させることをうまく両立させる必要があります。ノード性能でいうと太陽電池の変換効率向上、コストダウンによる適用面積の増加になるでしょうし、システム性能でいうとインテリジェンスとバッファ機能の付加と、ネットワークによる連携、全体の可視化などが課題になるのでしょうね。それがスマートグリッドなのでしょうが。
    各家庭への補助金程度の小手先ではない。パラダイムシフトを起こすような仕掛けを期待したい。

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