2011年9月3日土曜日

インドの信州、ラダック地方を旅する-その4

昨日戻ってきてからPost Cardなどで美しい景色を見ていたのでTravel Agentの人に「できればPangong湖へ行きたい」と話をすると、許可証が必要で半日かかるとのこと。
そしてPangong湖は片道4時間かかるので、そうすると向こうで一泊する必要がある、あるいは許可証を事前に取っておいて日帰り往復か。これは無理だ。今回は断念する。
代わりに彼がいくつか提案してくれたうちの、クルマでいける世界最高地点Khardung La(峠)という案が気に入った。そこも許可証は必要だが片道2時間程度なので昼ごろ許可証を手にしてからでも十分間に合うとのこと。これに決めた。

朝8時頃Travel Agentの人がパスポートを取りに来た。これを持って役所に許可証をもらいにいくとのこと。
虎の子のパスポートを渡すのは若干不安だったが、この2日間で6000ルピーを稼いでいる上客を裏切ることはないだろうと信頼した。チベット系の顔だと何となくまだインド系よりは信用できる気がしてしまう。
だます人はどこにだっているのだろうが。
空が曇っていて大丈夫だろうか?とたずねると、ここは天気の変化が早いのできっと登ることは良くなるでしょ、とのこと。確かに山の天気は変化が早いよな、良い方に変化してくれると良いけど。

11時を10分か15分ほど過ぎて外でディーゼルっぽいエンジン音がした。来たなと思っているとフロントから電話が入る。
昨日のドライバーさんとまたまたTOYOTA QUALISが待っていた。助手席なら何とか耐えられることが昨日実証済みなので、今日も助手席に乗り込む。
Lehの街を北に上がり、王宮を横目に上がっていくと山道の入り口らしいところへ入ってきた。

ワインディングをどんどん上がりながら標高をかせいでいく。ちょっと美鈴湖から美ヶ原へのアプローチを思い出す。原チャリで上がったりクルマで上がったり学生時代やったなー。
自転車で松本から挑戦して美鈴湖のもうちょっと上まで行って断念したこともあった。あれで自転車は自信なくなったな。一度だけ上高地へ松本から行ったけどあれも最後バテて釜トンネルを歩いて押したし。


そうこうするうちにかなり上からLehの街を見下ろす感じになってきた。そしてLehの街の向こうにも山々が。何かすごく信州っぽい。
1時間も経っただろうか、チェックポイントへ着き許可証を提出。軍の設備らしきものが多少ある。

これまではほぼ全て舗装道路でかなりインドのこの辺鄙なところにしては良い道だったが、チェックポイントを過ぎると急に悪路に変化。
舗装もなかったりで凸凹していてグオングオン揺れる。こりゃ車酔い弱い人はダメだわ。
たまに対向車が来るが行き違いのときに登側が谷側になることが多く、ガードレールなんてありやしない道なので冷や冷やする。

もうおそらく標高5000m近くまで来ているのだろう。残雪もかなり見えてきた。
ここらへんの感じは、乗鞍岳で畳平から山頂に歩く途中の観測所辺りに似ている。
まあ完全に山の風景であり、グオングオン揺れるこの道もほとんど登山しているのと変わらない気分。


ツーリングでバイクで上がってくる人たちや、中にはマウンテンバイクで上っているヨーロッパ人のツワモノもいる。あのー、標高差2000m以上あるんですけど。
標高差1500mの美ヶ原で途中断念し、標高差1000mの上高地でもバテバテだった僕からは信じられない。恐るべきヨーロッパ人。やつらホントに自転車大好きなんだな。さすが自転車レースの地。
マウンテンバイクを大量に屋根に積んで上がっていくクルマもある。これは良いね。帰りだけダウンヒルを楽しむワケだ。これもヨーロッパ人多し。人生の楽しみ方を知ってるね。

ただちょっとスリップしたりして道から飛び出すともう終わり、という命がけダウンヒルだけど。ここらへんは誰も「ガードレールをつけてなかったインド政府が悪い」なんて訴訟しないんだろうな。うーん、大人。(勝手な思い込み?)

悪路に揺られまくりながら、でも景色を楽しみ、大揺れの中カメラを握り写真を撮っているうちにKhardung Laに到着。やった!
クルマでいける世界最高地点とか、クルマでいける世界最高地点のゴンパとか、クルマでいける世界最高地点のカフェとか、やたらと看板が出ていて、北海道かなんかみたいだ。
そして集団でその看板を背に大声で掛け声をかけながら何枚も写真を撮って、どこうとしないインド人おにいちゃん集団。うん、ここもインドだ。


何か半分宙に浮いているようなヘンな感じ、つまり高山病になりながらも、せっかくだから目の前の一番低いピークでも立ってみて、標高5600mのピーク登頂!って気分を味わいたく、あっ、ちょっと登ったから標高5620mか?
ゴンパにまずは階段で上がり、そこから岩を3点支持をしながら登っていってピークに立った。天気も何とか持って、視界も良く最高の気分だ!他に人もなく良い気分に浸っていると、もう一つ上のピークで声が。


見るとヨーロッパ人カップルだ。さすが全くどこでもちゃんと楽しむね、彼らは。あの姿勢たるやエライよ。こっちは高山病でフラフラ、心臓はドコドコ鳴っているがともかく気分だけは良いのだけど、彼らはきっと体も大丈夫なんだろう。(勝手な思い込み)
さて、いざ降りようとするとこれがけっこう急でなるべく3点支持が継続できる場所を選んで慎重に降りる。こんなあまり誰も登っていないようなところで足を怪我なんかしてもまず誰も気づいてくれないのだ。
何とかかんとかゴンパのところまで来て、あとは階段で降りる。
ウチのクルマがもう帰りの方向のUターンしてスタンバイしている。どうやら「早く行こう」ということらしい。クルマでいける世界最高地点のカフェでチベット料理でも食べたいと思っていたが、反対側から軍のトラックが何十台も登ってきていて巻き込まれると降りるのに何時間かかるかわからないとらしい。
でもまだ看板をバックにした写真を撮ってないし、ドライバーさんにお願いして速攻で撮影して、QUALISに乗り込む。


若干あわただしかったが、でも初体験の標高5600mはかなりイケてる経験だった。何かここも気分は乗鞍。クルマでほとんど行ったんだけど3000m登っちゃった、みたいな。


下りでは既に軍のトラックが10数台ほど先行していて徐々に追いつくと、ディーゼルの汚い排気で臭い。仕方なく窓を閉めて走行する。何台かは追い越したがチェックポイントで残りがいなくなり、ここまではみぞれも降ってきてなかなか大変だったが、チェックポイント以降は道路状態も天候も良くなり順調に下る。
Lehの街に戻ると既に3時を回っていた。最後Agentがもう一度会って話したいとのことで、今日の分を精算し、事務所にあったパソコンで帰りの航空券のWebチェックインをさせてもらう。
そして次回の為に連絡先をもらってお開き。
必ずまた来たいと思う、インドの信州ラダック地方。そしてLehは言わばインドの白馬ってところか。岳都松本?とも思ったけど、より山が迫っていてトレッキングなどがそこら中でやっていそうで、小さな街でもある感じが夏の白馬だ。白馬は軍隊はないけど。

Agentのオフィスからぶらぶら歩いて帰りがてら、土産にドライバーさんがかけていた影響でチベット音楽のCDを買う。そしてせっかくなのでターコイズ製品を、と思いアクセサリーを物色するがどうもピンとくるのがない。
どうせ買うならチベット系の店でと思うのだが、伝統的過ぎてTシャツにカジュアルに合わせる感じでもないし、かといってそういうのを売っているのはインド系の店だったりしてあまり買おうという気になれない。(どこか彼らは便乗商売の匂いがする。やたら声をかけてくるのはインド系)
そこで入ったのがTigetian Artsというチベット系のおじさんがやっているお店。店内は暗く「停電中なのでごめんね」と言う商売気のなさが気に入った。インド系の店はホンダの自家発電機で明るくしているのだか。

やはりアクセサリーはどうも現代服に合う気がしなくて、ターコイズのビーズになったものを買うことにした。アンティークで質の良いものをグラム60ルピーで売るというので、大きなもの、小さなものにより分けてそれぞれ30個、5-60個くらいになっただろうか。
日本に帰ったときに妻と娘2人に渡して自分たちで好きなように組み合わせて作って使ってもらおう。
おじさんによるとあと2週間くらいすると店を閉めるらしい。なるほどここは軽井沢か。シーズンが終わると店もしまってひっそりとなるんだ。(現在では年中にぎわうアウトレットもあるけど、たぶん旧軽井沢は今もオフシーズンはひっそり?)
で、おじさんはカトマンズにも店を持っていてそっちに戻るらしい。チベット系ネパール人ということだ。


買い物もして満足し、ちょっとインターネットがしたくなりネットカフェへ。ホテルのネットは落ちっぱなしだったのでちょっと久々。西洋人がいっぱいネットをしている。おっと隣は韓国人。
国際色豊かな夏のラダック地方なのでした。

さ、明日は4時半おきで朝のフライトで帰るのみ、早寝するとするか。

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